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平成19年度税制改正のポイント
平成19年度の税制改正の概要を、中小企業経営に関連する項目を中心に紹介します。
主な改正項目
【中小企業の経営基盤の強化】
- 1 中小同族会社に対する留保金課税制度の撤廃
- 2 中小企業等基盤強化税制の改正
- 3 減価償却制度の抜本的見直し
【中小企業の事業承継の円滑化】
- 1 相続時精算課税制度の特例の創設
- 2 種類株式の評価方法の明確化
【その他の項目】
- 1 特殊支配同族会社の役員給与の損金算入制限措置の見直し
- 2 エンジェル税制の拡充
中小企業の経営基盤の強化
1 中小同族会社に対する留保金課税制度の撤廃
留保金課税の対象法人から、中小同族会社が除外されます。

2 中小企業等基盤強化税制の改正
- (1)適用期限の延長
- 現在、卸売業や小売業、特定のサービス業を営む中小企業者が取得する機械、装置、器具及び備品、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に規定する要件(経営革新の承認等)を満たした中小企業者の計画に定める機械及び装置の取得について、特別償却(初年度30%)又は税額控除(7%)が認められていますが、この措置の適用期限が平成21年3月31日まで2年間延長されます。
- (2)適用対象者の追加、削除
- 【追加】
- [1]中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律の適用のある中小企業者が追加されます
- 【削除、要件厳格化】
- [1]持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律に規定する認定農業者に該当する中小企業者が対象外となります
- [2]中小企業新事業活動促進法に規定する一定の中小企業者で、設立後5年を経過していないものが対象外となります
- [3]飲食店業を営む中小企業者の適用要件が厳しくなります
3 減価償却制度の抜本的見直し(中小企業に限らず全ての企業が対象)
(1)平成19年4月1日以降に事業に供用される減価償却資産(新規取得だけでなく資本的支出も含みます)については、償却可能限度額(取得価額の100分の95相当額)及び残存価額を廃止し、耐用年数経過時点に1円(備忘価格)まで償却可能になるとともに、従来の定率法に代えて250%定率法が導入されます。なお、定額法が強制適用される建物については、備忘価額1円まで、従来どおりの定額法により償却します。
【250%定率法】定額法の償却率(1÷法定耐用年数)を2.5倍(250%)した率を償却率とする定率法により償却費を計算する方法です。この償却費が、一定の金額(法定耐用年数から経過年数を控除した期間内に、その時の帳簿価額を均等償却すると仮定して計算した金額)を下回ると、償却方法を定率法から定額法に切り替えて、備忘価額まで償却する方法です。

(2)平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産についても、償却可能限度額及び残存価額を 廃止し、「償却可能限度額」まで償却した事業年度の翌事業年度以後5年間で1円まで均等償却が可能となります。
(3)技術進歩が著しいIT分野の特定設備の法定耐用年数が短縮化され、今年度は以下の3設備について、法定耐用年数が短縮されます。耐用年数の短縮は、既存設備にも適用され、具体的には、未償却残高に短縮後の償却率を乗じて減価償却費を算出します。

中小企業の事業承継の円滑化
1 相続時精算課税制度の拡充
相続時精算課税制度の特例として、取引相場のない株式等の贈与については、以下の要件を満たす場合に限り、非課税枠(特別控除額)が2,500万円から3,000万円に拡大されます。(平成19年1月1日から平成20年12月31日までの時限措置)
【適用要件】
- (1)贈与者
- [1]贈与した年の1月1日において贈与者が60歳以上65歳未満の場合
- (イ)発行会社の代表者である
- (ロ)発行会社の発行済株式総数の50%超を有している
- (ハ)発行会社の総株主の議決権の50%超を有している
- [2]贈与した年の1月1日において贈与者が65歳以上の場合:要件なし
- (2)受贈者の要件
- [1]贈与時点において
- (イ)贈与を受けた年の12月31日において発行会社の役員等の地位を有している
- (ロ)無制限納税義務者
- (ハ)贈与者の直系卑属である推定相続人
- (ニ)贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である
- (ホ)贈与を受けた株式について既に相続時精算課税を選択していない
- [2]確認日(贈与を受けた翌年の3月15日から4年を経過する日)の翌日から2ヶ月以内に、経済産業省が確認日において以下の要件を満たすことを証明する確認書を所轄税務署に提出することが見込まれる
- (イ)受贈者の要件
- a)発行会社の代表者である
- b)発行会社の発行済株式総数の50%超を有している
- c)発行会社の総株主の議決権の50%超を有している
- (ロ)発行会社の要件:「(3)発行会社の要件」参照
- (3)発行会社の要件
- [1]贈与時点において
- (イ)代表者が2人以上いない
- (ロ)法人が清算中でない
- (ハ)発行済株式の時価総額(相続評価額)が20億円未満
- (ニ)定款に黄金株に関する定めがない
- [2]確認日において
- (イ)代表者が2人以上いない
- (ロ)法人が清算中でない
- (ハ)定款に黄金株に関する定めがない
- (4)贈与される株式の要件
- (イ)議決権の制限がない
- (ロ)未上場の株式である
- (ハ)株式の贈与額(相続評価額)が500万円以上である
2 種類株式の評価方法の明確化
種類株式(以下4類型)の相続税法上の評価方法(原則的評価方式が適用される同族株主が取得した場合の評価方法)が以下のとおり明確化されました。
- (1)配当優先株式
- [1]類似業種比準方式:年配当金額について、株式の種類ごとに計算し評価します
- [2]純資産価額方式:配当優先の有無を考慮せずに評価します
- (2)無議決権株式(社債類似株式を除く)
- [1]原則:議決権の有無を考慮せずに評価します
- [2]特例:次のすべての条件を満たす場合に限り、5%評価減(評価減額は議決権株式の評価へ加算)を選択できます
- (イ)相続税の法定申告期限までに、遺産分割協議が確定していること
- (ロ)無議決権株式の評価の取扱いに係る選択届出書を提出すること
- (ハ)「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」に無議決権株式及び議決権のある株式の評価額の算定根拠を適宜の様式に記載し、添付していること
- (3)社債類似株式
- 以下の条件を満たす社債に類似した特色を有する種類株式は、発行価額で評価します。
- [1]優先配当
- [2]無議決権
- [3]一定期間後に会社が発行価額で取得
- [4]残余財産分配は発行価額を上限
- [5]普通株式への転換権なし
その際、社債類似株式以外の株式評価は、社債類似株式を社債として計算します。
- (4)拒否権付株式(いわゆる黄金株)
- 拒否権部分を評価せず、普通株式と同様に評価します。
その他の項目
1 特殊支配同族会社の役員給与損金不算入の適用除外要件の緩和
実質一人会社(同族関係者で株式の90%以上を保有し、常務に従事する役員の過半数を占める会社)のオーナー社長など、最も役員報酬を得ている役員の給与所得控除相当分は、一定の適用除外要件を満たす場合を除いて損金不算入となっていましたが、当該適用除外要件が緩和されます。

2 エンジェル税制の延長、拡充
- (1)適用期限の延長
特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の課税の特例(いわゆるエンジェル税制)の適用期限が平成21年3月31日まで2年延長されます。
- (2)適用対象法人の要件の緩和
- [1]「中小企業新事業活動促進法」に規定する特定新規中小企業者の要件(法人の設立経過年数の区分に応じた要件)が緩和されます。

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- [2]「地域再生法」に規定する特定地域再生事業会社の従業員数の要件が緩和されます。
- 常時雇用者数:20名以上 → 10名以上
- (3)適用対象法人の確認手続の追加
エンジェル税制の対象となる特定新規中小企業者に係る確認手続について、現行の投資を受けた都度(当該特定株式を払込みにより取得した日)確認を受ける方法のほか、毎年度事前に確認を受ける方法が追加されます。
(経営情報部 田中 文男)