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~アセアン及び中国進出中小企業実態調査結果から~
中小公庫では、アセアン及び中国に進出しているお取引先に対し、毎年、進出現地法人の実態調査(アンケート調査)を実施しています。
今回、「第11回アセアン進出企業の現地法人実態調査(06年6月実施)」及び「第7回中国進出中小企業実態調査結果(06年6月実施)」をとりまとめましたので、その概要をご紹介します。
用途別では自動車関連が好調
国別ではタイが引き続き好調、中国は好調ながらもそのペースは鈍化
【対前年比売上状況】
アセアン地域では、売上が増加した企業割合は73%に達し、タイ、ベトナムでは売上が60%以上増加した企業も見られる。一方、電子関連製品の輸出が低迷しているマレーシアでは、売上が増加した企業割合は49%に止まっている。
中国では、前年に比べて「増加」と回答した企業割合は全体の73%と高水準ながらも、電機・電子関連の不調を主因として、前回(78%)、前々回(80%)と比較するとそのペースは鈍っている。
自動車関連では、タイ及び中国において近年自動車メーカーの増産が相次いでいることを反映し、売上が増加した企業割合は高い(自動車関連の売上増加企業割合:タイ97%、中国83%)。
図表1:アセアン、中国現地法人における前年比増収企業割合の推移

【対前年比損益状況】
アセアン地域では、対前年比で売上が増加した企業割合の高いタイ、ベトナム等において損益が改善している企業割合はそれぞれ64%、67%と高水準を維持している反面、マレーシアでは25%と低い水準にある。
一方、中国では、過半数(52%)の企業が損益は改善していると回答しているが、前々回以降、低下傾向にあり(前々回63%、前回60%)、特に、繊維(前々回71%、前回51%、今回38%)や電気機器(前々回83%、前回62%、今回52%)でこの傾向が強い。
全体として、損益改善の主因は「売上高の増加」が大半を占め、損益悪化の理由は、過当競争による販売数量の減少や、原材料価格の上昇が挙げられる。また、中国では、近年の最低賃金引上げ等の影響を受けて、人件費上昇をコストアップの要因と回答する企業が多い(損益悪化理由を「人件費の増大」と回答した企業割合:25%)。
図表2:アセアン、中国現地法人における損益改善企業割合の推移

全体では「仕入原価の上昇」、タイ、ベトナム、中国では労務関連も上位
【経営課題】
アセアン地域では、「仕入原価の上昇」が68%を占めており、原材料価格の上昇が経営に大きく影響していることを示す結果となっている。
一方、中国では、上位3位中2つが労務関連(「優秀な管理者の確保」、「労務費上昇が顕著」)で占められており、中国の経済発展と外資企業の集約等による雇用環境の悪化が、企業経営に深刻な影響を与えていることが窺える(図表3)。
また、中国同様、外資企業の進出や業容拡大が進んでいるタイ、ベトナムでも、人材確保が経営課題の上位に挙げられている。
図表3:アセアン、中国現地法人の経営課題

自動車関連で強気見通し
【今後の見通し】
アセアン地域及び中国ともに、前回調査と比較して、売上、利益とも増加を見込む企業割合は低下するなど慎重な見方をする企業が多く、特にマレーシアでその傾向が強い。
自動車関連では、タイ(増加見通し企業割合:売上76%、利益62%)、ベトナム(増加見通し企業割合:売上100%、利益100%)及び中国(増加見通し企業割合:売上83%、利益75%)において強気な見方をする企業が多い。
図表4:アセアン、中国現地法人における売上増加見通し企業割合の推移

図表5:アセアン、中国現地法人における利益増加見通し企業割合の推移

中国プラスワンとしてベトナムが注目
FTA:アセアン・日本間は歓迎するも、アセアン・中国間は影響を懸念
【中期的な投資先(中国進出企業への特別調査)】
中期的な投資先として、最も多かったのが中国(54%)、次いでベトナム(17%)、タイ(7%)、インド(4%)であり、引き続き中国への投資が中心であるが、中国以外への投資を視野に入れた事業展開を検討している企業も比較的多いことがわかった。
国別の投資理由としては、中国、ベトナム、タイでは「労働力が低廉豊富」が第1位であるのに対して、インドでは「優秀な人材確保が可能」となっている。また、中国では第2位の「現地市場の将来性が高い」のウェイトも高く、中国国内販売を目的とした投資を検討している企業が多いことが窺える(図表6)。
図表6:中期的な投資先とその理由

【FTAの影響(アセアン進出企業への特別調査)】
アセアン拠点に与えるFTAの影響は、「好影響あり」と回答した企業が、日本とアセアンとのFTAでは53%と過半数であったのに対し、中国とアセアンとのFTAについては17%にとどまるなど、対照的な評価がされている。
中国とアセアンのFTAが歓迎されない理由として、FTAにより中国の安価な製品が大量にアセアン地域に流入することを懸念している企業が多いものと考えられる。
(経営情報部 安武 宏)