TOP > 中小企業事業 > 中小企業事業トピックス一覧 > 平成14年 > 最近の制度改正等 > 事業の安定と発展のために新しい資金調達の手段のご活用を 売掛債権担保融資保証制度

昨年12月、売掛債権担保融資保証制度が創設されました。この制度は、中小企業者が保有する売掛債権を担保として金融機関から事業資金の融資を受ける際に信用保証協会が保証を行うものです。金融機関から融資を受ける際、これまで不動産が担保とされてきましたが、この制度の創設により、中小企業者が売掛債権を担保にして融資を受けることが容易になりました。
中小企業者は、従来から取引をしている金融機関を経由して信用保証協会に保証の申込みを行います。信用保証協会が保証承諾を行うと、中小企業者は金融機関と信用保証協会に売掛債権を担保として譲渡し、これを引当てとして金融機関から保証付き融資が行われます。その後、中小企業者が融資の返済ができない場合、信用保証協会が保証付き融資の残額の90%を中小企業者に代わって弁済するとともに、信用保証協会と金融機関が担保となっている売掛債権等から回収を行います。

担保となる売掛債権は、一定の継続取引のある国内の事業者(官公庁を含みます。)に対する売掛債権で、物品の提供による売掛債権だけでなく、サービスの提供による売掛債権も対象に含まれます。具体的には、売掛金債権、割賦販売代金債権、運送料債権、診療報酬債権、工事請負代金債権、その他の報酬債権です。ただし、譲渡が禁止されている売掛債権、回収が遅延している売掛債権等は、担保となりません。
中小企業者のニーズに合わせて個別保証と根保証のいずれかの方式が選択できます。
【個別保証】
借入れの都度、信用保証協会へ保証申込手続きを行い、保証を得て金融機関から借入れをするもので、季節的な要因により売上高に波のある企業、突発的な資金需要への対応に適しています。
【根保証】
あらかじめ一定の借入極度額について信用保証協会の保証を得ておき、1年間、その借入極度額の範囲内で反復して借入れをするもので、比較的売上げが安定している企業、全体的に売掛債権の回収期間が長い企業の資金繰りの安定化に適しています。
根保証方式 |
個別保証方式 |
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1.申込資格 |
事業者に対する売掛債権を保有する中小企業者 |
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2.保証限度額 |
1億円 ※他制度の利用残高とは合算しません(別枠)。 |
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3.保証割合 |
90%(部分保証) |
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4.対象資金 |
事業資金 |
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5.貸付形式 |
手形貸付 |
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6.保証期間 |
1年間(ただし、4か月を限度として 最終期日の超過を認めます。) |
6か月以内 |
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7.返済方法 |
売掛債権の入金予定日を返済日に設定(期日一括返済) |
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複数の売掛債権を束ねている場合、 個々の入金日に返済期日を順次設定し ていくことも可能(随時返済方式) |
※個別保証では認められません。 |
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8.信用保証料 |
年1%(借入極度額の90%を元本として計算) ※保証料は第一回目の貸付実行時に徴収します。 |
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9.担保・保証人 |
(担 保)申込人の有する売掛債権のみを担保とします。 (保証人)法人代表者以外の保証人は徴求しません。 |
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10.担保の提供 |
売掛債権を譲渡担保として金融機関及び信用保証協会に提供します (準共有扱い)。 |
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(1)担保設定 <保証申請時> |
借入極度額設定のための譲渡で、将来の債権も対象となります。 |
申込時に対象債権を指定します。 |
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(2)返済引当 <個別借入時> |
担保設定済の売掛債権のうち、実際に発生している売掛債権を引当とします。 |
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| 11.対抗要件の具備 | 次のいずれかによります。 |
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①売掛先(第三債務者)からの意義なき承諾(民法468条) |
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②売掛先(第三債務者)に対する確定日付のある通知(民法467条) |
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| ③債権譲渡特例法に基づく譲渡担保の登記 | ※個別保証では認められません。 |
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| 12.貸付金利 | 金融機関所定の利率 |
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13.代位弁済 |
金融機関の未回収元本の90%を基本とします。 |
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担保となる不動産がないため金融機関から融資を受けることが困難であった方、不動産担保価値の下落により金融機関から追加融資を受けることが困難となった方などは、本制度の利用により売掛債権を担保に新たな融資の機会を得ることができます。
売掛債権は、多くの中小企業者にとって、売掛先から入金があるまでの間、資金繰りを圧迫する要因となっていますが、本制度を利用して売掛債権を担保に金融機関から融資を受けることにより、資金繰りが容易になります。
売掛債権が担保となっており、あらかじめ返済原資が確保されていますから、返済期日に慌ててお金を工面して金融機関に返済しなくても済みますので、安心して融資を受けることができます。
本制度がどのように中小企業の経営に役立てられているのでしょうか。本制度を実際にご利用になった中小企業の経営者の皆様に伺ってみました。
建築設計業を営むA社は、労務費等の月々決まった支払いがある一方、取引先からの入金が数か月先一括払いとなっており、資金繰りに苦慮していた。事業用不動産を余り必要としない業態であるため、担保となる資産が乏しく、金融機関からの借入れが困難であったが、本制度を利用して売掛債権を担保に融資を受けることができ、資金繰りの安定化を図るとともに、特に新卒採用者の給料、研修費等の資金手当てを行うことができた。
広告代理業を営むB社は、主に不動産関係の広告を扱っており、受注先に売上げがあがるまで代金の回収ができないことも多く、毎月発生する諸経費の支払いに苦慮していた。既に不動産担保には余力がなく、信用保証協会の無担保保証枠もほぼ使い切っていたため、金融機関からの借入れも困難であった。こうした中、本制度の利用により運転資金を調達することができ、しかも、担保である売掛債権が返済原資になっているため、安心して借り入れをすることができた。
機械製造業を営むC社は、受注から納品に至るまで長期間を要し、加えて、売掛債権の回収に平均6か月程度かかることから、部材の仕入先に対する支払いが先行し、資金繰りに追われていた。周辺地価が低下傾向を続け、不動産担保価値が低下している中、金融機関からの借入れが困難と思われていたが、本制度の利用により融資を受けることができ、部材の仕入代金を円滑に支払うとともに、受注に応じた機動的な部材の仕入れができるようになった。
総合エンジニアリング会社であるD社は、自動化工場のライン設計、生産設備を一括受注しているが、もともと設計・試作を中心とし、生産設備の一部を外部から調達している。今回、大規模工場改修工事の受注増加に伴う売掛金の増加に対応して資金繰りの円滑化を図るため、本制度を利用した。担保となる不動産に乏しい当社にとっては、本制度の利用により新たな資金調達の道が開けたことで、今後、大型受注のビジネスチャンスを活かすことができる。
建設業を営むE社は、工事費用を立て替えることが多く、材料費、人件費等の工事費用がすぐに発生するのに対し、工事代金の入金は工事完成後であり、加えて、代金の回収期間が長期化していた。最近、受注の増加に伴い外注費その他の経費の支払いが増加してきているが、不動産担保の余力がないため、金融機関からの借入れも期待できない状況にあった。本制度の利用により資金調達ができ、工事代金の入金前でも諸経費の支払いが可能となり、受注の増加に対応することができた。
物品やサービスの取引に係る契約書において、「債権譲渡の禁止」、「個別契約に基づく権利の全部又は一部を第三者に譲渡してはならい」とする債権譲渡禁止特約の条項が入っていることがあります。この特約がある場合、中小企業者が本制度を利用するためには、売掛先の皆様から当該特約の解除の合意を得ることが必要となります。取引先の中小企業者が本制度所定の用紙「債権譲渡禁止特約解除依頼書」を提示して、当該特約の解除への合意を求めてきた場合、できるだけ速やかに応じて、同用紙に記名・捺印をしてください。
なお、従来譲渡禁止とされていた官公庁向け債権については、本制度活用のため信用保証協会等へ譲渡する場合には特別に認めるという運用が経済産業省等で既に行われています。また、売掛債権を担保とすることが自企業の信用力を低下させることとなるのではないかとの不安をもつ中小企業者の意見が聞かれることから、売掛先企業の本制度への理解が本制度が活用される一つの鍵となりますので、よろしくお願いいたします。
(注)「債権譲渡禁止特約解除依頼書」の捺印は、債権譲渡禁止特約が記された契約書等と同じ印を使用してください。
本制度の詳細については、各信用保証協会又は取引金融機関へお問い合わせください。
すでに取引(借入れ、手形割引、当座取引等)のある金融機関が申込窓口となります。信用保証協会へのお申込みは、取引金融機関を経由して行います。